厚生労働省によると看護師の離職等の人数は平成24年度のみで約16.1万人となっています。
退職理由は結婚、出産、子育て、家族の都合など女性が多い職場ならではのものが上位にランクインしています。
これと同じくらい多いのが、人間関係、医療事故への不安、残業の多さ、夜勤の負担、休暇が取れないといった勤務条件や看護師の仕事自体を負担に感じての退職が多いです。
高齢化にともない、看護師の数も減少傾向にあり、ひとりひとりの負担が大きくなってきているのは切実です。
看護師になって「看護師を辞めたい」と思ったことがない人の方が少ないかもしれません。
でも、看護師を辞めたいと思っている今、簡単に思い切って辞めることはおすすめしません。
看護師の国家試験に合格したとき何よりもうれしかったのではありませんか?
看護師は立派な専門職で、なりたい人がみんななれる職業ではありません。
もう一度、自分を振り返り、あなたの自信を取り戻してください。
看護師を辞めたいと思う今、色んなケースごとの解決法を探ります。
ぜひ、立ち止まってご覧になってください。
目次
1.看護師を辞めたい理由:人手不足で仕事がつらい
患者さんの高齢化、重症化、認知症の増加により看護師の人手不足は切実になっています。
健康に不調があると答えた看護師の割合は35.1%となり、厚生労働省の調査の全産業の女性に比べて20%も高いです。
常に医療現場は時間に追われ、満足のできる看護ができているとは言えません。
さらに、医療事故の原因にもなりかねません。
これはあなた一人ではどうにもならない問題です。
看護師が増加するように、ブランクのある看護師が復職できるように支援したり、離職する際に登録する制度を設けたりとさまざまなフォローは行われています。
今の職場のままで頑張るのがベストですが、どうしても現状を変えたいのであれば、看護師の転職サイトを通じての転職も視野に入れてください。もちろん、ハローワークやナースセンターも併せて利用して大丈夫です。
看護師以外の仕事に就く方法もありますが、年齢が上がるにつれて正社員での転職はむずかしい印象です。
2.看護師を辞めたい理由:夜勤が負担です
常勤で看護師の勤務を希望する場合、ほとんどに夜勤がつきものです。
2交代、3交代制どちらも一長一短があるかと思います。
2交代制は夜勤の勤務時間が16~17時間に及びます。
仮眠時間を2時間はとるように決められてはいるものの、患者さんの急変や急患が多いと休めないこともあります。
3交代制はほとんど、準夜勤が16:30~0:30と深夜勤が0:30~9:00で区切られています。
日勤が終わり、すぐに深夜勤の場合は自宅に帰ってもほとんど休憩せずに出勤することになります。
就業後にまた仕事に就く勤務感覚が8時間未満、12時間未満というケースが多いです。
さらに3交代は4時間未満と驚くようなケースもあります。
解決策ですが、非常に簡単なことですが夜勤前はお昼寝をしてください。午後5時くらいまでに2時間くらい寝るのが理想的です。
そうすることで、夜勤中の眠気が緩和されます。
夜勤中はどんなに忙しくても、5分でも10分でも仮眠をとることで体の負担が減ります。夜勤明けはできるだけ早めに4時間くらい寝てください。
15時以降の睡眠は夜の睡眠に影響しますので、14時前後を目安に起きるようにしてください。
「起きるのが苦手」という方には、光目覚まし(朝日と同じくらいの明るさで起こしてくれる)が便利です。
さらに、夜勤は日勤に比べると看護師の人数も減るので受け持つ患者さんの数が増えます。
疲れていたということは理由になりません。責任が大きくのしかかります。
プレッシャーを軽減させる策としては、夜勤に慣れるまでは少しだけ早めに出勤し、自分が担当する患者さんを把握したり、前もってできる用意をしたりして心に余裕を持たせておきましょう。
「ミスをしないように集中していれば、あとは何とかなる。」くらいの大きな気持ちが大切です。
3.看護師を辞めたい理由:残業が多い
残業が発生してしまうことも多いかと思います。
理由によって、あなたが自分で改善できるときとそうでないときがありますので、ケースバイケースで対応してください。
まず、あなた1人では改善できないケースからお話します。
勉強会や委員会などを勤務時間外での実施の場合は残業となります。
患者さんの容体が急変したり、救急搬送されたりといったケースも残業となります。
残業した時間が「残業代」や「超過勤務手当」として支給されているなら良いです。しかし、現実はサービス残業が多いです。
さらに残業はおろか、まともに休憩がとれない職場も多いです。
看護師の平均残業時間は救急指定病院で1~2時間程度、療養型病院で1時間前後あります。
その中でも、日勤の方が残業時間は長くなりがちなようです。
改善策としては、残業が少ない職場、あるいは残業代がきちんと支給される職場への転職です。
看護師の転職サイトを通じての転職であれば、転職エージェントを通じて職場の細かい事情まで確認できますので、安心できるかと思います。

次に、あなたの努力次第では残業時間を減らすことができるケースをお話しします。
勤務時間内は仕事に追われ、カルテの整理や入力といった事務作業はいつも時間外になっていませんか?
それはあなただけですか?
もし、周囲も同じであれば職場自体が忙しいので目をつぶる必要があります。
あなただけがいつも時間外になっているのであれば、
ひと呼吸おいて周りをよく観察したり、先輩に相談したりしてください。
何かしらの改善策が見えてきます。
4.看護師を辞めたい理由:医療事故・インシデントへの不安が大きい
人の命と向き合う仕事である看護師は、ひとつの小さなミスが命取りになることもあり、医療事故、インシデントへの不安や責任の重さから退職してしまう方も多くいます。
医療機関では、医療事故やインシデントが起きないようにきちんとした管理体制が整備されています。
しかし、まれに過酷な労働条件による疲れから起きてしまうこともあります。
薬を誤って提供する、何かを過剰に投与してしまう、患者さんを間違えてしまう…普段ではなかなかあり得ないことが、疲れがピークに達すると起きてしまいます。
万が一、あなたが医療事故やインシデントを起こしてしまったら、どんなに小さなことであっても上長に報告してください。
その後、報告書には医療事故やインシデントが起きたときの状況から原因、そして今後の対策まできちんと書いてください。
あなたが責任を感じてしまい、看護師を辞めたいと思うかもしれません。しかし、大切なのは今後の対策です。
同じことが起きないよう、成長へとつなげてください。
あなた一人ではなく、病院のシステムに疑問を感じる場合は、転職も視野に入れて良いです。
5.看護師を辞めたい理由:職場環境が合わない
看護師は女性が大半の職場のため、人間関係も複雑になりがちです。
また、患者さんからのセクハラや、看護部門の上司や医師からのパワハラによる人権侵害のハラスメントも多いです。中には深刻なケースもあり、体調を崩してしまう方もいます。
まずは職場の相談できる部署に相談しましょう。部署異動などの可能性があります。
次に心療内科などでカウンセリングを受け、診断書を受け取って休職しましょう。
どうにもならないときは転職も視野に入れてください。
看護師の転職サイトによっては、過去に何らかのトラブルを起こした医療機関の求人は掲載していないところもあります。
6.看護師を辞めたい理由:家庭の都合
女性の場合、結婚、出産をきっかけに退職するケースも多いです。
結婚後も通勤時間があまり変わらないのであれば、出産まで続けられるのがベストかと思います。
病院内に託児所があるところもありますので、産休・育休が終わった後も復職しやすいケースもあります。
出産後、育児がひと段落して看護師に戻ることに不安を覚える方も多いと思います。
看護協会が実施するブランクのある看護師向けの研修を利用し、医療機関の中でも時間に追われない職場を中心に復職を検討されてはいかがでしょうか。
どこも忙しいことに変わりはありませんが、急性期病院よりも療養型病院や老人保健施設など、患者さんの容態が急変することが少ない職場を選ぶことをおすすめします。
7.看護師を辞めたい理由:給与・賞与に不満がある
世間から、看護師は年収が高いイメージです。
じっさいに、厚生労働省の女性の職業別年収ランキングでも上位に位置しています。
しかし、現実には看護師の多くが給与・賞与に不満を持っています。
それは、自分たちがしている仕事に見合った金額だとは思えないからです。
重なる残業と夜勤、重くのしかかる責任、勉強会などに向けての用意、するべきことが多すぎて、そう思われることは当然だと思います。
あなたに今できる改善策としては、認定看護師や専門看護師などのスキルアップを目指すことです。職場によっては、資格手当を受けることができます。職場で管理職を目指す方法もあります。
しかし、どちらも職場によってはむずかしいケースも多いと思います。あなたが現状の給与・賞与をどうしてもアップさせたいと願うのであれば、看護師の転職サイトを通じての転職も検討してください。
比較するという意味で、ハローワークやナースセンターも併用してください。
8.看護師を辞めたい理由:現状を変えるために 看護師の転職サイト3選
看護師を辞めたいと思う人は75%の現状です。
あなたが現状を変えたいと願うこと、今の職場のままで叶えることがいちばん良いです。
しかし、それがむずかしいことが多いです。
現状を変えるために、看護師の転職サイトを利用してみませんか?
大手を中心に数社登録し、相性の良い転職エージェントをメインに転職活動をしてください。おすすめの転職サイトを3つご紹介します。
現職で働いている方にもうれしい、下記のようなサービスを受けることができます。
・求人紹介(非公開求人)
・求人元の情報提供(人間関係、職場環境など求人票からは見れない情報)
・履歴書、職務経歴書作成にあたってのアドバイス
・面接の日程調節
・勤務先とのさまざまな条件(基本給、賞与、希望する部署など)の交渉
・面接への同行(ケースバイケース)
・就業後のアフターフォロー
転職サイトにより多少の差はありますが、上記のサービスは大手であればほとんど受けることができます。
最も大きいのは、求人票からは見えてこない情報を提供してもらえる点ではないでしょうか?転職後のミスマッチを防ぐことができます。
8.1.看護師手職サイトと言えば、マイナビ看護師
過去の利用者からはキャリアアドバイザーの評価が高く、親身になってさまざまな提案をしてもらえるようです。
ブランクがあって復職を考えている人、過去の転職で失敗して今度は同じミスをしたくない人、夜勤に対する苦手意識があり夜勤がない職場を希望する人、初めての転職に対する不安が大きい人、などなど利用者のケースはさまざまです。
でも、どのケースにも求人紹介をし、キャリアアップの提案までされているケースもあります。
キャリアアドバイザーと求人元の採用担当者との信頼関係が深いことや、看護師という仕事には色々な働き方の可能性がある国家資格であることも大きいですね。
全国エリアで支社があり、地方での転職活動を検討している人にも心強い存在です。
8.2.先輩ナースが使っている看護roo!
看護rooは求人を掲載する前に厳正なチェックを行い、看護師が安心して長く勤めることができる求人のみを紹介しています。
さらに、求人元の良い面だけではなく、悪い面や考えられるリスクについてもしっかり教えてもらえます。
そのため、転職後のミスマッチを最小限にすることができます。
転職サイトとしての機能以外に、ナース専門の掲示板、ウェブマガジン、アンケートなども運営しています。
ふだんあなたが疑問に思っていることや、悩みに近いこともたくさん掲載していますので、ぜひあわせてご覧になってください。
8.3.良くも悪くも新しいサービス:看護のお仕事
登録受付は24時間、年中無休で行っており、不規則な仕事である看護師の方にとっては心強い存在です。
公式サイトでは、サイトのPRのみではなく、しっかりとハローワークや看護協会の紹介も行っており、自己主張のみで終わっていない好印象を受けます。
看護のお仕事では、入職後に転職支援金が最大12万円支給されます。この点からも、入職後も色々な面でフォローしてもらえることが良くわかります。
9.看護師自体を辞めるメリットとデメリット
看護師であることを辞めれば、あなたは今までの悩みから解放され、いっきに自由になれます。それがいちばんのメリットです。
しかし、もう一度看護師になりたいと願い再就職を希望したとき、ブランクがあるとなかなか思うような職場への再就職はむずかしくなります。
ブランクの理由が結婚、出産と明確なものであれば別ですが、そうでなければ志望動機を考えるのもむずかしくなりますし、採用担当者も多少不安に感じてしまうかもしれません。
最初にもお話しましたが、看護師であることに自信を持ち、できる限り看護師という仕事から離れないでください。どうしてもつらい時は非常勤でも良いです。
10.まとめ
看護師を辞めたいと思う人向けに、色々な提案をさせて頂きましたが、いかがでしたか?
本当につらいときは、何を言われても耳に入ってこないと思います。
まずは信頼のできる人に相談し、場合によっては病院を受診して、メンタルに問題がないか診断してもらいましょう。
ほんの少し休職させてもらったり、非常勤に変えてもらったり、ほんの少し工夫するだけで看護師を辞めなくても負担が減ることもあります。
あなたが自信を持ち、看護師を続けられることを願って終わります。