【小児アトピー】親子で経験した小児アトピーの体験談と私たち親子が試したことまとめ

アトピーと聞くと、原因不明の病気で治らないと心配する親御さんが多いと思います。
現在は昔と比べてアトピー患者の数も多くなりました。しかし、医学の発達により、改善策が多くなってきたのも事実です。

私自身が生後6ヵ月に小児アトピー性皮膚炎と診断され、現在に至るまでたくさんの治療を試みました。

現在も治療進行中ですが、治療方法が確かに変化しつつあります。

現在小児アトピーと戦っているお母さん、これから母になろうとしているお母さんにとって、アトピー患者である私と、小児アトピーの我が子の経験が毎日の不安やストレスから解放される手立てになれば嬉しく思います。

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2.小児アトピー性皮膚炎とは

2.1 小児アトピーの症状と原因

アトピー性皮膚炎と乳児湿疹の症状は似ており、診断が難しいとされていますが、アトピーの特徴として下記のような症状からアトピーと診断されます。

  • 乳幼児の場合2ヵ月以上の湿疹が慢性的に続いている
  • かゆみがある
  • 湿疹がある
  • 家族にアトピー患者がいる

参考:アトピー性皮膚炎診療ガイトライン2016年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf

小児アトピーの皮膚の状態は、カサカサ乾燥した状態で、鱗屑が見られる。
強い痒みを伴う湿疹があり、赤く腫れる場合もあります。
また掻きつぶしを繰り返すことで、皮膚がゴツゴツ厚く硬くなってしまうこともあります。

乳幼児では耳切れや顔に湿疹、手首や足首にも乾燥による湿疹が多く見られます。
小児期では、ひじや膝の裏に痒みのある湿疹が出やすく、肌全体の乾燥が見られます。


引用元:http://www.allergy-i.jp/kayumi/kayumi-nayami/atopic.html


引用元:http://go-shinkyu.com/gairai/shouni/atopi/


引用元:http://www.allergy-i.jp/kayumi/kayumi-nayami/atopic.html

小児アトピーの原因は複数考えられます。
ハウスダストやダニ、カビなどアレルギー物質に反応する場合や、温度差や環境の変化によるストレスも考えられます。

特に季節の変わり目など、体温調節が未熟な乳幼児には痒みがストレスになり、夜ぐっすりと眠れないことがあります。

また遺伝の場合が多く、私の娘も遺伝が考えられます。
妊娠前から一番気にしていたのですが、残念ながら娘はアトピーと診断されました。

2.2 小児アトピーの期間

小児アトピーの診断は難しく、特に新生児から3ヵ月ぐらいの赤ちゃんは、乳児湿疹を発症する時期でもありますので、見分けがつきにくいのです。

小児アトピーの特長として、体や顔に赤いブツブツが出来始め、患部がジュクジュクしており、強いかゆみがあります。小児アトピーは、良くなったと思うとぶり返しと繰り返される肌の湿疹です。


この症状が2ヵ月以上続く場合にアトピーと診断されることが多く、生後4ヵ月ぐらいから診断されることになります。

小児アトピーは、軽度であれば1歳前後までに、中度程度でしたら肌が強くなってくる2~3歳ぐらいまでには完治すると言われ、重度を含む全体でも70~80%は完治すると言われています。

2.3 小児アトピーの治療方法

小児アトピーと乳児湿疹の診断が難しい乳幼児ですが、ではいつ病院に行けばいいのでしょうか
。私は、症状が軽く激しく痒みが出ないうちに病院に受診した方が良いと考えます。


小児アトピーと皮膚科、どちらに受診してもいいと思いますが、大切なことは納得のいく診察をしてもらえるかということです。

アトピーは長い治療になります。1度で良くなる治療であれば問題ないのですが、治らない期間が長くなると、医師との信頼関係が大きく左右されます。

アトピーの治療は、病院によって治療の仕方が真逆の場合もあります。
こちらの病院では良かったことが、違う病院ではタブーということもあります。
ではどっちを信じれば?と迷いますよね。

私はこれまでたくさんの皮膚科にかかってきました。近い皮膚科もあれば、飛行機に乗って治療を受けに行ったこともありました。その中で共通する名医は、しっかり患者もしくは保護者の話を聞くという事です。


長い治療の中で、信頼関係がしっかりしていることで、治るんだ!

と思えるかどうかが大切だと思います。

1つの病院にこだわらず、納得がいく病院に出会えるまで是非探して欲しいと思います。

3. 小児アトピーが引き起こす合併症とは

3.1 小児喘息


小児喘息と診断される子どものうち、約90%以上の確率でアトピー体質を持っていると言われています。
私自身もアトピーと小児喘息を持っていました。

小児喘息は、呼吸した時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が聞こえ、アレルゲンの侵入や、冷たい空気を吸い込んだり、風邪を引いた時に起こります。特に昼間より夜間に多く起こります。

ハウスダストやダニなどが原因で喘息を起こすことが多いと言われていますが、思春期までに約70%は自然に良くなると言われています

3.2 食物アレルギー

小児アトピーと食物アレルギーの関係は深く、0~1歳のアトピーは食物アレルギーが関係することが多いとされ、80~90%に卵や牛乳、小麦などの食材が関係しているといわれています。


消化能力が上がるにつれ、食物アレルギーが改善されていくと同時に小児アトピーも改善されることが多く見られます。

3.3 アレルギー性鼻炎

アトピー患者はアレルギー性鼻炎を併発しやすいと言われ、ハウスダストやダニにアレルギー反応を起こし、鼻水や鼻づまりを起こします。

アトピーの改善とともに、アレルギー性鼻炎も改善されることが多く見られます。

3.4 結膜炎


目は外気に触れる機会が多く、特にアレルギーが出やすい部分になります。まぶたやまぶたのふち、目の周りに痒みを感じ、触ることで悪化しやすくなります。
ハウスダストやダニに反応することが多いですが、花粉の時期にも発症しやすくなります。

4.ステロイド剤の種類と使い方

4.1 ステロイド剤の種類

現在病院で処方されているステロイドは5段階のランクがあり、症状によって処方されるステロイドが違います。

下記はステロイドのランクとステロイド剤の名前になります。
※()内はジェネリック医薬品名

Ⅰ群 Strongest ストロンゲス

  • デルモベート(デルトピカ/マイアロン)
  • ジフラール(カイノチーム/アナミドール)
  • ダイアコート(アナミドール/ジフロラゾン酢酸エステル0.05%)

Ⅱ群 Very strong ベリーストロング

  • フルメタ(マイセラ/フランカルボン酸モメタゾン0.1%)
  • アンテベート(アンフラベート/サレックス)
  • トプシム(ベスタゾン/フルオシノニド0.05%)
  • リンデロン-DP(ディーピーポロン/ダイプロセル)
  • マイザー(スチブロン/ジフルピレドナート0.05%)
  • ネリゾナ(アルゾナ)
  • パンデル(ハーユロン/イトロン)

Ⅲ群 Strong(ストロング)

  • エクラー(アロミドン)
  • メサデルム(メインベート/プロメタゾン)
  • ボアラ
  • ザルックス
  • リンデロン-V(デルモゾール)
  • ベトネベート(ケリグロール)
  • プロパデルム(ベクラシン)
  • フルコート(ポリシラール/フルポロン)
  • リドメックス(スピラゾン/ユーメトン)

Ⅳ群 Medium(ミディアム)

  • アルメタ(タルメア/ビトラ)
  • キンダベート(パルデス/キンダロン)
  • レダコート(ノギロン)
  • ロコイド(アボコート)

Ⅴ群 Weak(ウィーク)

  • コルテス
  • プレドニゾロン(プレドニゾロン軟膏0.5%/プレドニゾロンクリーム0.5%)

4.2 ステロイド剤の副作用と予防法

ステロイドを長期使用することで、起こりうる副作用は以下になります。
①皮膚萎縮
必要以上に長期に使っていると皮膚が薄くなります。

②毛細血管が拡張する(酒さ様皮膚炎)
皮膚が薄くなり皮下血管が透過され毛細血管が浮き上がって見える。

皮膚の感染症になりやすい(細菌や、ウイルスの感染にかかりやすくなる)
ニキビやヘルペス等の感染症になりますい。


長期に渡っての治療を余儀なくされるアトピーですが、一定量を超えなければ副作用はないと言われています。

ステロイドの強さや種類によって、体に吸収される率が違いますので、部位によってステロイドを使い分け、医師の指示通りに使用するように注意しましょう。

4.3 ステロイド剤を上手に使う

小児アトピーの場合、少しでもステロイドを使わずに治療したいと思う方は多いと思います。
しかし上手にステロイドを使うことで、治療期間も短くなる可能性もありますし、子どもの負担も少なくなります。

ステロイドを使用する際に注意したいことは、使用量を守ること。
そして、湿布後の紫外線は出来れば避けたいところです。


アトピーの治療に効果的なステロイドですが、しっかりと理解した上で使用することでより効果的に使用することが出来ます。

また現在では、プロトピック軟膏0.03%小児用という外用薬があります。
プロトピック自体はステロイドではありません。

使用は2歳以上と決まりがあり、ステロイドより副作用が少ないと言われ、ステロイドと同じ効果がみられます。
症状がある場合は改善し、症状が治まれば肌に吸収されないという優れものです。

使用方法ですが、ある程度ステロイドで症状を緩和させ、落ち着いてきたところで使用することで効果がみられます。

ただ使用開始時期にヒリヒリしたり、ほてりや痒みがある場合があります。
この使用感を我慢できるかが問題ですが、これは薬が効いている証でもあります。

私自身も成人用のプロトピックを使用しましたが、少し痒みがありました。
2~3日我慢すると少しずつですが、独特の使用感を感じなくなり、ステロイド剤と同等の効果を感じました。

長期ステロイド使用を避けたい時に、十分代用が効くお薬だと思いました。
※あくまでも使用感や使用方法や私の体験に基づくものですので参考程度にしておいてください。

5.食事の改善で小児アトピーの改善を目指す

アトピー性皮膚炎の治療の1つに、食事の改善が考えられます。
日々の食事内容で、症状が良くなる場合も悪化することもあります。

アトピーに良いとされ、積極的に摂取したいビタミンは、ビタミンB群・銅・亜鉛・鉄分になります。
その他、緑黄色野菜を積極的に取り入れていきます。

逆に、肉・酸化した油・リノール酸(マーガリンやマヨネーズ)・砂糖・餅・食品添加物が多く含まれる食材を大量に摂取することで、アトピーを悪化させる原因にもなります。

ビタミンB1
副腎の働きを良くし、副腎皮質ホルモンを作ります。これはステロイド剤と同じ効果があると言われ、体内から肌にアプローチします。
ビタミンCと一緒に摂取すると効率よく吸収されます。

ビタミンB1が多く含まれる食材は、
豚肉・うなぎ・玄米・大豆

ビタミンB2
皮膚を健康に保つ作用があります。不足すると敏感肌になり、湿疹が出やすくなります。乾燥を引き起こす過酸化脂質を分解してくれます。
ビタミンB2はタンパク質と一緒に摂ると効率よく吸収されます。

ビタミンB2が多く含まれる食材は、
レバー・さば・納豆・卵(卵黄)・まいたけ・干し椎茸・焼きのり

ビタミンB6
免疫機能を正常にし、皮膚の炎症を抑える働きがあります。
また、小児喘息やアレルギー疾患の治療に有効的とされています。
ビタミンB6は、ビタミンB2やナイアシンなどのビタミンB群と一緒に摂取することで効率的に働きます。

ビタミンB6が多く含まれる食材は、
マグロ・かつお・鶏肉・いわし・さけ・さんま

亜鉛や銅
新陳代謝を上げ、アトピーで傷んだ皮膚を修復するのを助けてくれます。また、ウイルスに対する免疫力を高めてくれる効果があります。
亜鉛と銅のバランスが大切です。

亜鉛が多く含まれる食材は、牡蠣・牛肉・煮干し・レバー・高野豆腐

鉄分
血液の循環を良くすることで、健康な肌を作りだす栄養素をしっかりと体全体に送ることが出来ます。しかし、過剰摂取により痒みや湿疹はできることがありますので、気を付けて摂取していきましょう。
鉄分が多く含まれる食材は、レバー・牛肉・あさり・パセリ・ほうれん草

ビタミンA
肌を強くし、炎症を抑えてくれます。緑黄色野菜に含まれるβカロチンが体内でビタミンAに変えられます。ビタミンAは体内で吸収されにくく、油と一緒に摂ると吸収されやすくなります。油はオリーブオイルやシソ油を使うとより効果的です。

ビタミンAが多く含まれる食材は、
にんじん・ほうれん草・にら・かぼちゃ・パセリ・モロヘイヤ

食事の改善をすることで、腸内環境を整えることができ、それによってアトピーの症状が緩和されると言われています。炎症を鎮める成分である魚油のEPAやDHA(青魚・イワシ・さんま)を積極的に取り入れたいです。

日本食の基本の朝ごはん、焼鮭・お味噌汁・ご飯・納豆・お漬物。
アトピー治療だけでなく、日本人の腸内環境には最適のメニューです。

偏った食生活から、日本食を中心に食事をすることにより、体の中から綺麗にすることで、アトピーの再発を防ぎましょう。

6.小児アトピーと向き合い上手に付き合う方法

小児アトピーの子どもを持つ親にとって、日々の肌の変化に敏感になります。
少し良くなり、肌が柔らかくなってきたと喜ぶ日。掻きむしってジュクジュクして痒そうにしているのを見ると辛くなる日。
毎日それの繰り返しだと思います。

その日々の繰り返しの中で、少し気にして欲しいことがあります。
治療方法が増え、薬で改善されることが多くなった最近では、病院であまり言われなくなったと思うのですが、アトピー患者の私にとっては大切な事だと思うことがあります。

とても簡単なことなのですが、子どもの症状が良くなった時にあまり使わない方がいいと思う言葉です。
これは昔、母が病院で言われた言葉でもあります。

「キレイになったねー。良かったね。」という言葉です。

どうして?と思う方がほとんどだと思います。

言われた時は確かに嬉しいです。良くなってきていると実感できる瞬間です。
でも、この言葉ほどプレッシャーになる言葉はありません。

掻いてはいけない、また悲しい顔になると思うと自分まで悲しくなるものです。
幼い子どもでも感じるものです。それがかえってストレスになることもあるのです。

私は子どもの肌が改善されてくると、グッと我慢し、抱きしめます。
痒がっているときも、すぐに薬かクリームを塗って抱きしめます。

キレイになった子どもの肌をみて、抱きしめながら泣いてしまうこともありますが、意外と子どもはわかってくれているように思います。逆に頭を撫でられることもあります。

子どもの肌の変化で毎回心が動かされるのですが、少しゆったりとした気持ちで向き合えば、子どもも親も少し楽に向き合えると思います。

7.おわりに

小児アトピーから成人アトピーの現在まで、たくさんの経験をしました。
辛くてたまらなくなった時期、今でもコンプレックスの塊です。
でも、私はアトピーになったことをすべてマイナスだとは思いません。

悲しく思う過去もすべて今の自分であり、人の痛みを少しはわかってあげられるようになりました。
きっと自分が悩み、辛い思い出がなければ今の自分ではなかったと思います。

だからこそ、今、小児アトピーを持つお母さんに知って欲しいことはあります。
ほとんどの子どもは完治します。もし完治しなくてもマイナスだけではないということです。

長い期間、アトピーと向き合っていると心配で疲れることもあります。
どうして良くならないのだろうと悩むこともあります。
でも焦りは禁物です。気長に付き合うしか方法はありません。

子どもの為にたくさん勉強をするのは良い事だと思いますが、思い詰めるように情報を集めるのも心配です。
少し気持ちをゆるめてアトピーと向き合ってもらえればと思います。

早くアトピーから解放される日がきますように。