「看護師の仕事を辞めたい」と考えたことはありますか?
看護師の約75%が「看護師を辞めたい」と考えたことがあるそうです。
看護師の仕事は、体力的にも精神的にもハードなものです。
ハードな仕事に加えて、人間関係が悪い、夜勤や残業が多くて、プライベートな時間が取れないなどの悩みがあれば、仕事を辞めたくなるのも当然です。
では辞めたい時にはいったいどうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、辞めるべきかの判断基準や辞めたいと感じたときの対処法、良い職場を見つけるコツについてご紹介していきます。
目次
1.看護師を辞める前に、自分にとって一番良い判断なのか立ち止まってみよう
辞めたいと思う時は色々な理由があると思います。それぞれのケースで先輩ナースの皆さんの意見を元にどう判断するのが良いかヒントを紹介していきます。
是非参考にしながら、自分にとって一番いい判断ができるよう考えてみてください。
1-1.辞めてもいいケース
1-1-1.人間関係がうまくいっていない
どこの職場でも人間関係の悩みはつきものですが、それには許容範囲があります。
自分を変えることはできても相手を変える事はできません。
理不尽な評価をされたり、自分の手柄を奪われたり、足を引っ張られたりと自分に実害がある場合は辞めるべきでしょう。
1-1-2.精神的・身体的ダメージが継続的にある
労働環境の悪さや、いろんな悩みが深刻化して、心身共に限界にきていると感じる場合は辞めるべきでしょう。
放っておくとうつ病や不眠症などになりかねません。
一度このような病気になってしまうと治療に時間もお金もかかってしまい、新しい仕事を始めるにもブランクにより再就職に支障がでる可能性もあります。
1-1-3.仕事内容が自分に合っていない
今の仕事が自分に合っていないと感じるのであれば転職を考えてみましょう。
ただし、最低でも1年は今の職場で働きましょう。
1年ほど働くと会社の方向性や仕事の面白み、やりがい、自分に合っているかなどが見えてきます。
そこでやっぱり違うと感じたら自分が面白いと思えるやりたい仕事に転職するのも良いでしょう。
1-2.考え直すべきケース
1-2-1.寿退社
結婚を機に引っ越す、家業を継ぐなどの理由で退職する場合は仕方ありませんが、結婚だけの理由で辞めてしまうのはおすすめできません。
結婚して仕事を辞めるとキャリアが途絶えてしまい、結婚生活や子育てが落ち着き再就職しようと思っても退職前と同じ条件での復帰は難しく、条件を下げざるを得ないことが多いです。
寿退社するのであれば再就職を考えている業界の情報収集や資格取得の勉強などを続けるよう心がけましょう。
1-2-2.介護離職
介護と仕事の両立が難しく、退職せざるを得ない人もいるのが現状ですが、介護を理由に退職することはなるべく避けるべきです。
介護にはもちろんお金が必要であり、収入が無いなか介護費用を払う状況と介護の負担でストレスがたまり共倒れになる可能性が高まります。
また40代以上の方は年齢的に再就職が難しく、介護が終わったあとも生活が苦しい状況が継続してしまいがちです。
介護休業や時短勤務を上司に相談し、退職せずにすむ方法を考えましょう。
1-2-3.疲れきっている
日々の激務に耐え続け、とにかく疲れたから仕事を辞めたいと考えている人は、今決断を下すときではありません。
一度立ち止まって有給や休職を使ってじっくり考えを整理しましょう。
なぜ疲れているのか、本当に辞めたいのか自分の気持ちにしっかり向き合うことが大切です。
2.看護師が他の仕事よりも恵まれている点
2-1.就職に困る事がない
看護師不足がどんどん深刻になっていく状況の中、多くの病院で看護師を募集しています。
看護師の仕事は専門職・有資格職なので就職しやすく、また転職を考えたとしても、再就職しやすいです。
また病院、クリニック、企業、学校など働き方や働く現場も様々で就職に困る事はないでしょう。
2-2.給料が良い
看護師の給料は他の職業に比べるとかなり高いと言われており、女性全体の平均年収よりも100万円以上高くなっています。
パートでの時給も高いので、正社員でなくても高収入を得ることができます。
また他職種と比べると景気による変動が少なく、高い水準で安定しているというメリットもあります。
2-3.職場を選べる
看護師は、外来、病棟、訪問介護、老人ホーム、企業、学校などたくさんの中から働く場所を選ぶことができます。
選択肢が多いので、自分に合った職場が見つかりやすいです。
2-4.年齢に関係なく長く続けられる
看護師の仕事は年齢関係なく働く事ができるので、結婚や出産でブランクがあったとしても復職することができます。
また定年がなく健康であれば生涯働く事が出来ます。
3.すぐできる考え方の切替方法
3-1.リフレッシュして仕事のことを忘れる
仕事を辞めたいと思い始めると、「働く」という現実から逃げたくなってしまいますよね。
そういったときは大いに現実逃避をして頭の中を空っぽにすることも必要です。
せっかくの休日に思い悩んだりせずに、旅行や趣味に没頭して気分をリフレッシュできれば、仕事への活力となるでしょう。
休日の計画は、立てている時が一番楽しいものですよね。
「仕事が嫌だなぁ」と気分が落ち込んだ時は、「次の休みは何をして過ごそうかなぁ」と気分をあげて、落ち込まないようにモチベーションをキープしましょう。
3-2.必要以上に気にし過ぎないようにしましょう
人間関係に悩んでいる人には他人のことを意識しがちな特徴があります。
他人の意見や評価を気にしすぎたり、他人からよく思われようと気を遣いすぎることで、人と関わること自体が億劫になり、人間関係に疲れてしまうのです。
他人の評価で自分のすべてが決まるわけではありません。
本当に必要な意見や評価を取捨選択して、気にしすぎないようにしましょう。
3-3.病院に勤め続けているメリットを考える
仕事を辞めたいと思った時は、病院に勤めるメリットを考えてみましょう。
それを自覚する事で、冷静な判断ができるようになります。
毎月一定の収入が得られる、厚生年金や社会保険の恩恵を受けられる、ローンを組んだりクレジットカードが作れるなど、勤めているだけで、色々なメリットがあります。
それを実感すれば、辞めたいと思っている気持ちにストップをかける事ができるでしょう。
4.人間関係を構築してみようと思えるならすぐにできる効果的なこと
4-1.まずは自分から積極的に話しかける
自分から話しかけることは人とコミュニケーションをとる上でとても重要です。
日本人はシャイな性格の人が多く、積極的にコミュニケーションを取れる人が少ないので、話しかけられるのを待っていては人間関係が広がることはありません。
第一印象があまりよくなかったり、自分の好みでないとしても、話してみると共通の趣味があったり、気が合うということもあります。
まずは自分から積極的にコミュニケーションをとりチャンスを広げていくことが大切です。
4-2.肯定・共感する姿勢
人間関係を円滑にするには空気を読んで相手に共感することが効果的です。
自分の考えが肯定・共感されると誰でも嬉しく思いますよね。
「褒める、同調する、感謝する」などを積極的に行うことで自分のイメージをよくすることができ、相手も自分に対してそのような行為をしてくれるようになります。
相手の心を満たすことで警戒心を解くことができ、お互いの距離を縮める手軽、かつ効果的な手段と言えます。
4-3.明るく元気に挨拶
コミュニケーションの第一歩は挨拶から始まります。
挨拶は相手に対する好意を示すもっとも効果的な行動なので、積極的に行っていきましょう。
挨拶をする上で“明るく元気に”は基本ですが、自分から積極的に挨拶をする事、そしてそれを継続する事がとても大切です。
自分から誰に対しても笑顔であいさつを出来るような人になるだけで、周囲のあなたに対する意識は激変します。
挨拶は最低限の礼儀でもありますので、社会人としてきちんとした挨拶ができるように心がけましょう。
4-4.飲み会などの会社行事には参加しましょう
ランチ会や飲み会などは職場の人間関係をつくる大切な場なので積極的に参加しましょう。
自分のことを知ってもらえるだけでなく、同僚の人間性を知るきっかけにもなり、特にお酒が入った席では、職場の人々の本音や仕事中には見えない人柄を知る事ができます。
親睦を深める事は、良い職場の人間関係をつくる近道になります。
4-5.仕事に対して誠実に取り組む
職場の人間関係を円滑にするためには、コミュニケーションだけではなく、良い仕事ができるように心がける事が大切です。
良い仕事とは、成果を上げる事はもちろんですが、地味な作業や人が嫌がりそうな仕事こそ責任を持ってきちんとこなす事です。
また仕事ができる人・真面目に取り組む人は好印象を与え、周りから信頼されます。
仕事に対して謙虚な姿勢で、責任をもってやり遂げる事を心掛けましょう。
5.辞める前にできることは
5-1.リフレッシュする
仕事を辞めたいと思い始めると会社のすべてが嫌に感じてきてしまいます。
そんなときは、休みを取って旅行やのんびり好きなことをやって過ごし、リフレッシュしましょう。
一度会社を離れて、冷静に判断できる状態で仕事のことを再度考えてみましょう。
5-2期限を決めてもう一頑張り
ずっとこの職場で仕事をしなければいけないと思うと辞めたい気持ちが大きくなりますが、先が見えていれば少し気が楽になることもあります。
「ここでずっと働かなければならない。」という肩の荷を降ろすことで、今まで見えなかったこと、感じられなかったことがみつかるかもしれません。
そして自分ができることをやり尽して期限がやってきたとき、判断するといいでしょう。
5-3.上司に相談する
自分ではどうしようもなくなったときは、身近な上司に相談してみましょう。
上司は自分よりも長く会社に勤めているので、会社のことをよくわかっているはずです。
また、自分の働く姿をいつも見ているので、あなたの得意不得意や、改善点、頑張っている姿を知った上でアドバイスをくれるでしょう。
悩みの深刻度によっては、休職や部署異動などの対応も考えてくれるかもしれません。
6.人間関係が良い職場をみつけるためのコツ
6-1.求人サイトの常連企業は要注意
頻繁に求人を出している企業は、入社してもすぐ辞めていく人が多いと考えられます。
人間関係が良ければ少々大変な仕事でも辞めない人がほとんどです。
辞めていく人が多いというのは、人間関係を含めて劣悪な環境であると推測できるため要注意です。
6-2.面接官の態度をチェック
面接時の雰囲気はしっかりチェックしておきましょう。
人間関係が悪い職場では、面接の時から垣間見えることもあります。
面接官が威圧的な雰囲気や横柄な態度であったり、無表情だったりするようなところは要注意です。
話していて不愉快に思う言動があったり、この人の元で働けないと感じる場合は、その会社の人間関係に適していない可能性が高いです。
6-3.社内の様子を見せてもらう
可能であれば面接後などに、職場を見学させてもらいましょう。
できれば抜き打ちで頼むことで用意された見学ではなく、普段の状況を確かめることができます。
また患者として病院を訪れて職員や患者の雰囲気を見てみるのもいいでしょう。
6-4.転職エージェントを使おう
自分で直接応募する転職サイトでは、自分自身で職場の見極めをしなくてはなりません。
そういったことに対して不安を感じるのであれば、転職エージェントは企業の情報が豊富なので、積極的に活用することをお勧めします。
すでに入職実績のある病院の看護師から情報を聞くこともできるので、内情を知ることができます。

6-5.職場の口コミサイトを利用する
会社の評判投稿サイトでは、現役社員や元社員が書き込んだ待遇や環境、休暇など会社の内情を読むことができます。
求人サイトからは読み取れない会社の実態がわかるのでぜひ利用してみましょう。
7.よくある仕事をやめたい理由に対して、どう解決すればいいか
7-2.認めてもらえない
同期の中で自分が一番注意されたり、覚えるのに時間がかかっているととても焦ってしまいますよね。
習得できるようになる期間は人それぞれです。
投げやりにならずに何事も慎重に取り組むことで作業の素早さや一瞬の理解力よりも、慎重さ丁寧さが評価される日が来るでしょう。
7-1.先輩からの指導が辛い
精一杯頑張っているのに、全てを否定するようなことを言われるととても辛いですよね。
中には全人格を否定するようなことまで言うような人もいます。
ストレス発散で言われた事を全て受け止めていては心がもちません。
意識的に指摘の大事な部分だけ胸に止め、あとは聞き流すようにしましょう。
7-3.夜勤、残業が多くてつらい
看護師の仕事は力仕事が多く、体力的にとてもハードです。
ただでさえ仕事がきついのに残業や夜勤があると、仕事のつらさは倍増します。
夜勤を少し減らしてもらうように管理者に交渉する、お付き合いだけの無駄な残業はしない、など労働時間を直接改善するのも大切です。
看護師という職業を辞めるのは、いつでもできることです。
ただ、看護師は簡単になれる職業ではありません。
辞めようかな・・・と思っている方は、今回ご紹介した考え方を参考にしていただき、慎重に検討してみてください。