正看護師と准看護師の違い|これから看護師を目指す人向け

看護の仕事は、体力的にも精神的にもとても大変な仕事です。
しかし、人を助けることに魅力ややりがいを感じ、看護師になりたいという人は少なくありません。

では看護師になるにはいったいどうすればいいのでしょうか。

そこで今回は看護師になるにはどれくらいの期間が必要なのか、費用はいくらかかるのか、どういった方法があるのか紹介していきます。

1.正看護師と准看護師の違い

看護師は大きく分けて正看護師と准看護師の2種類あります。
ではこの2つの違いはどういったものでしょうか。

1-1.仕事内容の違い

正看護師と准看護師の仕事内容に大きな違いはありません。

ただ、准看護師は自分の判断で看護を行うことができず、医師あるいは看護師の指示に従って業務を行います。

また、准看護師から看護師に指示をすることもできません。

そのため准看護師は複数の看護師を統括する看護主任や看護師長、看護部長といった責任業務を持つ管理職に就くことは難しいです。

1-2.免許の交付機関

正看護師と准看護師とでは、資格の発行元が異なります。

正看護師の免許は「厚生労働大臣」が発行する国家資格であり、准看護師の免許は「都道府県知事」が発行する都道府県知事免許になります。

1-3.カリキュラムの時間

看護師試験の受験資格を得るには3,000時間以上、准看護師試験は1,900時間以上の教育を受け、所定の教育機関を卒業する必要があります。

准看護師は正看護師の3分の2のカリキュラムで受験資格を得られますので、働きながらの学習も可能です。

1-4.給与の違い

平成27年度人事院統計書調べによると、正看護師の平均年収は561万円准看護師の平均年収は478万円と83万円の差が出ています。
業務内容はほぼ変わらないのになぜこの金額差が発生するのでしょうか。

准看護師は必ず医師か正看護師の指示を受けて業務にあたらなければないため管理職の役職に就くことが難しいです。

正看護師の資格が無いと受けることができない専門的な資格も取得できません。

また病院は正看護師を雇った場合、病院の診療報酬に「看護加算」が発生し、その儲け分が正看護師にフィードバックされていることもあります。

准看護師の場合は「看護加算」はありません。このようなことから、ほとんどの場合、正看護師と比べると准看護師は収入が低くなってしまうようです。

1-5.需要の違い

准看護師と正看護師は同じような業務内容ですが求人は少し違いがあります。准看護師は正看護師に比べ雇用賃金が低いです。

そのため個人の病院や診療所などは准看護師を優遇する傾向にあります。

一方、総合病院や大学病院では高度な医療技術に触れることや、複雑なやり取りなどをする必要があるため、「潜在力」として勉強を多くしている正看護師を採用する傾向にあります。

2.准看護師・正看護師になるには

准看護師、正看護師になる方法はたくさんあります。
自分に合った方法をみつけましょう。

2-1.准看護師になるには

2-1-1.高等学校衛生看護科

中学卒業後、高等学校衛生看護課(3年)定時制であれば4年を卒業する方法です。

このパターンは中学で普通科の高校に進学するのではなく高等学校衛生看護課に進学する事で准看護師試験の受験資格が得られます。
通常、現役の中学生や高校生が選択する選択肢になります。

2-1-2准看護師学校

中学、高校卒業後准看護師学校(2年制)を卒業する方法です。准看護師学校は教育課程が2つの時間になっています。

・週3日の全日制
朝から夕方まで講義を行う課程で普通の学校と変わらない時間割になります。
2年生から病院での実習が入ってきます。
空いている日はアルバイトなどに充てることもでき、通常の大学生などと同じようなイメージです。

・週5日の半日制
高校の定時制などと同じような感じで、5日制の平日午後や夜間に授業を行います。
2年生から週3日は病院での実習、残りは学校といったケースが多いです。
多少働きながら通うことが出来るので、系列の病院で看護助手や医療事務で働きながら学校に通う人も多数います。

2-2.正看護師になるには

看護師になるには、国家資格である「看護師資格」が必要です。
看護師資格を取得するには、文部科学大臣指定の学校もしくは厚生労働大臣指定の看護師養成所を卒業し、看護師国家試験に合格しなくてはなりません。
学校は、4年制大学、3年制の短大・専門学校があります。
それぞれの特徴やメリットデメリットはどういったものでしょうか。

2-2-1 看護専門学校

3年制の専門学校は「看護師になるための勉強」に特化しており、実技や実習が充実しています。

実践力を身につけることができるので働き始めたときに即戦力となれる強みがあります。

また3年制ということもあり大学に比べると学費が抑えられ、病院系列の専門学校も多く、独自の奨学金制度により学費が安くなることや免除されることもあります。

4年制大学よりも1年早く卒業できるので、「早く現場に出たい」という人にはおすすめです。

デメリットとしては、取得できるのは看護師資格だけになるので、保健師や助産師になるには、看護師資格の取得後に、改めて専門教育機関へ進む必要があります。(専門学校でも、4年間の統合カリキュラム校では保健師の資格取得が可能ですが、数が少ないです。)

また医療機関によっては出世が困難であり、日本看護協会の調査によると、専門学校卒と大卒では初任給に1万円ほどの差があります。

本人の頑張り次第ではありますが、大卒の方が出世しやすいのが現実です。

2-2-2 看護大学

4年制大学は「看護師になるための授業」以外にも一般教養科目が充実しており関連法規や看護管理、福祉、心理など幅広い分野の勉強をすることでより深い知識を得ることができます。

保健師や助産師、養護教諭などの受験資格も取得できるため卒業後の選択肢を増やすことができます。
また大卒ということもあり給与設定は高くなることが多いです。

デメリットとしては高額な学費です。

専門学校より1年長いということもありますが、職業人を育てる専門学校と知識人を育てる大学とでは基本的な成り立ちが違います。

また現場主義の専門学校と比べ理論と記録を重視する大学は現場の経験が不足しがちな面があり働き始めはできないことが多く戸惑うかもしれません。

2-2-3 看護短大

看護短大は専門学校と同じ3年課程でカリキュラムも似たものですが、専門学校に比べ看護学だけではなく心理学や社会学など看護師に必要な幅広い知識を身につけることができます。

また短大で取った単位の一部を、共通の取得単位とできるので大学の3年生から編入が可能になります。

しかし、同じ3年課程であれば専門学校の方が一般的で、実習をたくさんこなすことで現場力が鍛えられるということと、より深く学ぶのであればむしろ看護大学の方が就職やその後の臨床にも有利ということがあり、短大を選ぶ人も短大自体も減少しているのが現状です。

2-2-4 高等学校衛生看護学科に進学

中学校卒業後、高等学校衛生看護学科に進学すると、准看護師の資格を持って、高校を卒業することができます。

卒業後2年間看護専門学校や看護短大へ通うことで看護師の受験資格が得られるため、看護師になる最短の方法になります。

1年の差はキャリアの点でも大きな差があり、費用も安く抑えることができます。

ただ高校の3年間に、普通科目の履修に加え必要な看護の学科を詰め込むので、かなり忙しく、大変な学校生活になります。

2-2-5 准看護師から正看護師

准看護師から正看護師になるには次の方法があります。

①定時制の看護専門学校に3年間通う

定時制の准看護師から正看護師を目指すコースには、「昼間コース」と「夜間コース」があります。

授業の時間は学校によって違いますが、主に昼間コースで13時〜17時、夜間コースで17時〜21時になります。

昼間コースは時間が中途半端で正職員として働きながらは難しいので、昼間に正職員として働き、夜間コースに通う方が多いです。

②全日制の看護専門学校に2年間通う

看護師免許を取得するには、専門学校もしくは短大へ最低でも3年間通う必要がありますが、准看護師資格の保有者に限り、全日制の学校であれば、最短2年で看護師免許が取得可能となります。

しかし、平日の朝から夕方まで授業があるため、正職員として働きながらの通学は難しく、この方法を選ぶ人はほとんどいません。

さらに需要が少ないため、現在では准看護師向けの全日制看護師養成過程を用意している学校は全国で探しても数える程度しかありません。

③2年制の通信教育を受ける

准看護師として10年の実務経験があれば、通信制で単位を取得できます。
(2018年4月からは実務経験7年に変更されます。)

主に自宅から通信教育を受けますが、たまに集団講義で学校へ行く機会もあります。

通信制は、自宅で勉強できることがメリットですが、勉強時間を裁量で確保することもあり、
全日制や定時制の学校に比べて途中で挫折する方や、学校を卒業しても国家試験に落ちてしまう方が多い傾向があります。

※中学卒業後に准看護師養成課程を経て准看護師になった場合は上記の1,2の場合、実務経験が3年以上必要になります。

3.必要な費用

3-1.准看護師になるためにかかる費用

費用に関しては准看護師学校も高等衛生看護科も国公立・私立・医師会立などがあり、受講する形式もさまざまなので学校によってかなり変わってきます。

相場としては月額25,000円~40,000円、年間に直すと30万円~50万円程度の学費が必要となり、これらの費用とは別に、教材費や実習費が発生してきます。

卒業まで必要となる費用としては200~300万円前後必要とされています。

3-2.正看護師になるためにかかる費用

看護学校の学費は学校によって諸経費なども異なる為、一概には言えませんが目安として紹介します。

・看護大学(4年間)私立→約450万円~700万円、公立→4年間で約250万円
・看護短期大学(3年間で)私立→約400万円、公立→約250万円
・看護専門学校(3年間で)私立→250万円、公立→60万円

学校によっては学費の他に教材代や実習費用、ユニフォーム代などさまざまな費用が必要となります。

一番安い公立の看護専門学校と一番高い私立の看護大学の学費でかなり大きな差があるのはなぜでしょうか。
理由として、看護大学は通う期間が1年長いこともありますが、カリキュラム内容の違いがあげられます。

看護大学は、看護以外の一般教養科目を学ぶことができ、専門学校、短期大学と比べ多くの資格が取得できます。

その他にも高名な教授の授業を受けることができる、大学の施設や設備が充実しているなど、学費が高くなる理由としてあげられます。

一方、看護専門学校の学費が安い理由としては、大学病院やそのほかの病院などの付属として設立されている学校が多いことがあげられます。

また看護専門学校は奨学金制度も充実しています。

「入学した看護専門学校の系列の病院で一定期間働くこと」などの条件を満たせれば、奨学金を受けられる場合が多いです。

学校によって奨学金や支援金などを受けられる場合があり、なかには返済不要の奨学金制度を用意している学校もあるので、情報収集は怠らないようにしましょう。

4.看護学校の選び方

看護専門学校、看護短大、看護大学など看護学校について述べてきましたが、どの学校を選べばいいのでしょうか?

4-1.学校までの距離

通学時間は、学校を決める重要な決め手の一つです。
看護学校は実習があるので実習先の医療機関へ通うことも考慮しましょう。

実習開始時間は授業より早く、何より実習中の記録は山のようにあります。
これに加え国家試験の勉強もあり、時間に追われる毎日となるので、通学時間が短いに越したことはありません。
また社会人の方は勤務先からの距離も考慮しましょう。

4-2.費用

費用は学校を決める上での重要な条件になってきます。

学費が低いから、看護師になった際の知識も低いという訳ではないので心配いりませんが、学費の高いところはそれだけ研究や研修に力を入れていたり、優秀な講師がいたりと、価格に見合ったメリットもあります。

交通費や生活費など必要な費用を全て考慮した上で自分にあった学校を選びましょう。また学費の捻出が難しい方は奨学金制度がある看護学校を探すのもひとつの方法です。

4-3.学力

看護学校は難易度に大きな差がありますので、自分の学力に見合った看護学校を選びましょう。

無理して自分のレベル以上の学校へ入学しても、学校の授業についていけず、留年を繰り返し退学することになりかねません。

確実に合格できそうな学校を選ぶことも、看護師になりたいという夢を叶えるためには大切です。

4-4.国家試験の合格率

偏差値の高い学校に入れば良い教育を受けることができるとは限りません。看護師の場合、看護学校へ入学しただけでは看護師になることはできません。

看護学校を卒業して国家試験に合格することで看護師になることができるので、学校の偏差値より国家試験の合格率を重視しましょう。

看護師になるためには、まず看護学校で、看護師になるための知識を身に着け、実習によって技術を学ばなくてはいけません。

お金がないから学費を稼ぎながら通学したい、誰より早く看護師になりたい、養護教諭になりたいなど、正看護師を目指す方それぞれの思いがあると思います。

今回紹介したように、正看護師になるまでのルートはたくさんあります。自分に合う手段を見つけて看護師を目指しましょう。