看護師としての経験を積み、次のキャリアアップを考える人も多いのではないでしょうか。
キャリアアップを目指したい人の一つとして、人気の“認定看護師”についてご紹介します。
目次
1.そもそも、認定看護師とはなんだろう
認定看護師は、一言でいうなら熟練した看護の技術と知識を用いて水準の高い看護ができる人として認定された看護師のこと。
協会が定める特定の看護分野の技術と知識能力を図る認定試験に合格すると、認定看護師として認められます。
認定看護師認定審査は毎年1回開催され、認定資格の有効期限は5年と定められています。
認定看護師制度が制定された背景は、看護現場におけるケアの復旧と看護の質を向上させることを目的として誕生した資格です。
1.1.どうして認定看護師のニーズが高まっているのか
普通の看護師ではなく、そのエキスパートな(ワンランク上と位置づけされる)認定看護師のニーズが高まっているのでしょうか。
それは、近年の日本の社会傾向とリンクしているようです。
認定看護師は、一般の看護師よりも専門分野に特化した知識、技術を習得しており、ケアが行えるということから、今後より一層ニーズが高まると予測されます。
1.2.認定看護師の人数はどれくらい?
認定看護師の認定がスタートしたのは1997年。
その当時は60人弱しかいなかったようですが、この年以降推移は右肩上がりに増加を続けています。
認定制定から10年後の2007年には、3000人を超えています。
そして最近では、なんと18,000人を超える勢いとなっています。この像羽化傾向をみても需要があることはお分かりいただけるのではないでしょうか。
1.3.認定看護師の役割とは?
認定看護師の役割は何かをご存知でしょうか?認定看護師として活動する中での役割について触れておきたいと思います。
認定看護師の役割の大きな柱は、3つとされています。①実践、②指導、③相談の3本柱です。
まず①実践については、特定の看護分野において熟練した技術と水準の高い看護を実践することが求められます。
次に②指導については、水準の高い看護の実践を通じて一般的な看護師への指導を行うことが求められています。
最後に③の相談については、看護者に対してコンサルテーション(カウンセリングやヒヤリング)を行うことが求められます。
③については一般の看護師でも看護者に対してケアの一環として行う場面も出てきますが、①実践と②指導については認定看護師ならではの責任ある役割と言えるのではないでしょうか。
2.様々な看護師資格の違い(認定看護師、専門看護師、特定看護師)
今回テーマとしている認定看護師の他に、専門看護師や特定看護師と呼ばれる認定資格があるのをご存知でしょうか?
この違いについてよく知らないという人のために認定看護師との違いをご紹介します。


2.1.認定看護師と専門看護師との違いとは
認定看護師の役割と大きく違うのは、より実践能力に卓越していることを認める資格であるという点でしょうか。
もちろん、役割として定義されているものの、中には認定看護師同様の役割が課せられているため、違いが分かりにくいといった声もあるかもしれません。
大きな違いとしては専門分野の数です。専門看護師の専門分野は11分野に対し、認定看護師は21分野と違いがあることがあげられます。
また、資格取得においては専門看護師の場合は、所定の大学院を修了していることが条件としてあげられており、認定看護師では所定の教育機関での教育を受け試験に合格することが条件となっています。
2.2.認定看護師と特定看護師との違いとは
特定看護師は、資格として存在するものではなく、特定の医療行為にかかる看護師の研修を習得している看護師を指す言葉です。
そのため、認定看護師や専門看護師が資格として存在するものとは異なります。
この研修を修了している看護師は、医師の指示を待たず待たずに一定の診療補助を担うことが求められます。
近年の高齢化や在宅医療への注目が高まる日本では、この特定看護師として活躍できる人材を増やしていきたいという協会の想いがあるようです。
3.どうすれば認定看護師になれるのか、1から分かる認定看護師になる手順
認定看護師を目指したいと思っている人へ認定看護師になるためにはどんな手順を踏んだらよいのかご紹介したいと思います。
是非参考にしてみてくださいね。
3.1.認定看護師になるためには前提の条件を満たす必要が
認定看護師になりたいと思っても、看護師資格があれば誰もがすぐになれるというものではないことをまずは押さえておきましょう。
資格審査を受けるにも大前提として必要になる条件が存在します。
認定審査を受ける前にまず必要な経験があります。
それは、『実務経験が5年以上の経験が必須(うち3年以上は認定看護分野での経験が必須)』ということです。
つまり、最短でも看護師になってからのキャリアが5年ないとそもそも審査の対象にはならないということです。
転職や休職した場合はどうなるかというと、転職・休職期間があっても通算できるため、その点は安心してください。
また、認定看護分野での経験が3年以上必須であることから将来を見据えて認定看護師を目指したいと思うのであれば、看護分野を定めて経験を積んでいくことも必要と言えますね。
このキャリア条件が揃ったら、次に『認定看護教育課程を受講することが可能となり、6カ月間615時間以上の学びを習得』します。
この教育課程は週末のみや平日、夜間等幅広く開催しているため、仕事をしながらでも通うことが可能です。
以上のこの2つの条件(キャリアと講座受講)をクリアして始めて認定審査が受けられるということになります。
3.2.認定校に入る前には自分やりたい分野を21分野の中から選ぼう
認定校に入る前に、自分のやりたい分野・得意分野を選んでおきましょう。分野も21種類と幅広くありますが、この中から3年以上のキャリアがある分野であればどれでも選択可能です。
認定看護分野21種 |
---|
救急看護 |
皮膚・排泄ケア |
集中ケア |
緩和ケア |
がん化学療法看護 |
がん性疼痛看護 |
訪問看護 |
感染管理 |
糖尿病看護 |
不妊症看護 |
新生児集中ケア |
透析看護 |
手術看護 |
乳がん看護 |
摂食・嚥下障害看護 |
小児救急看護 |
認知症看護 |
脳卒中リハビリテーション看護 |
がん放射線療法看護 |
慢性呼吸器疾患看護 |
慢性心不全看護 |
3.3.自分の求める分野を学べる養成学校を探して申込をする
認定審査を受ける分野を決めたら早速学校選びです。各教育機関とも、随時受け入れではなく申し込み期間を設けているところがほとんどなので、受けたいと思ったら各教育機関の募集時期などもこまめにチェックしておくと良いですね。
3.4.入学試験の倍率と試験について
認定看護師教育課程倍率は1.8~5.0倍と言われており、決して簡単ではないことが伺えますね。
特に首都圏の教育機関はやはり人気が高く、倍率も高いようです。そして定員割れした場合でも、試験結果が必要な水準に達してなければ、合格とはならないので難関です。
入試内容は、教育機関ごとに異なるため、過去問題の取り寄せが可能であれば事前に取り寄せて勉強を進めることが大切です。
筆記試験の他、小論文、面接なども試験として含む教育機関もあるため、自分が通いたい教育機関の情報収集も事前にしっかりしておくと安心ですね。
3.5.試験合格に向けて参考になる情報を集めよう
前項でご紹介した通り、過去問題を取り寄せる他経験者のブログや体験談を参考に自分自身のライフスタイルの中でどう勉強していくか等を参考にしてみるのも大変おすすめです。
やみくもに勉強するといっても、ポイントを掴んでから勉強に入ったほうが効率的です。仕事をしながら、勉強をしていこうと考えているのであれば、限られた時間の中でいかに効率的な勉強をするかが鍵になります。
3.6.認定看護師になるための費用を確認しておこう
認定看護師になるまでに共通してかかる費用の概算は約100万円と言われています。事前の費用の備えも必要ですね。
<概算費用内訳>
入試検定費 | 約5万円 |
---|---|
入学金 | 約5万円 |
授業料 | 約70万円 |
実習費 | 約10万円 |
認定審査料 | 約5万円 |
認定料 | 約5万円 |
3.7.奨学金や職場の支援制度を上手に活用しよう!
前項で最低でも約100万円の自己負担が発生するということをご紹介しましたが、職場での支援制度や奨学金制度もあります。そういった制度を上手に利用して、自己負担が軽減できるようにすることもできます。
例えば、認定看護師教育課程奨学金(日本看護協会)では賃与額120万円以内まで可能、変換期間は2年(24カ月)としている制度もあるため、働きながらであれば無理なくスタートできますね。
また、職場である医療機関の支援制度としては、研修中は休職扱いにしてもらえる場合や入学金を助成してもらえる等、資格取得を応援する形で制度を設けているところも多数あるようです。ご自身の職場の支援制度も一度確認してみると良いですね。
4.認定看護師認定審査合格への道!
最後に晴れて教育課程を修了し、認定審査を受けるところまで来たという方向けに最後の難関である認定審査についてご紹介したいと思います。
4.1.認定看護師の試験概要紹介
筆記試験については、午前の部、午後の部と分かれており、各分野によって異なります。筆記試験の時間は100分マークシート式・四肢択一です。
参考データ1:認定審査要綱
参考データ2:日本看護協会『認定の手引き』
4.2.何気に高い認定看護師の合格率
近年の認定審査では、21分野1,671人受験に対し、1,478人が合格となったようです。約88%が合格しているという結果ですね。
いかに教育機関で学んだことを審査で発揮できるか、過去問題など勉強の仕方で明暗が分かれるのかもしれませんね。
参照元:日本看護協会HPより
4.3.認定後も自分のスキルを磨くことが大切
長い道のりを経て、無事認定看護師になれた!と安心してしまうのではなく、その後も自分自身の経験とスキルを磨くことが大切です。
冒頭でも触れていますが、認定看護師として認定を受けたあとその認定の有効期限は5年間です。その後も認定看護師のレベル保持のために認定看護師の更新審査があります。
更新審査の受験資格は下記の通りです。取得後の実践が必要になってきますから、認定後の働き方もとても重要視されることがお分かりになるのではないでしょうか。
<更新審査受験資格>
②申請時において、認定看護師であること。
③申請時において、過去5年間に下記の看護実践と自己研鑚の実績があること。
・看護実践時間が2,000時間以上に達していること。
・学会及び研究会等への参加や発表、または雑誌発表等の研修実績及び研究業績等が規定の内容で50点以上に達していること。