患者を癒やす仕事である看護師ですが、残念ながら看護師の職場にもいじめは存在します。
現在いじめを受けている方や、身近な人がいじめられるのを見てつらい思いをした方も多いのではないでしょうか。
今回は、看護師のいじめの実態と、その対策について考えてみたいと思います。
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1.看護師のいじめの実態
看護師は女性が9割以上を占める、いわば女社会です。
そこで発生するいじめは自然と陰湿化することが多いようです。
例をあげると、下記のようなことがあります。
人が見ているところでの叱責
・他の新人がしていた軽度のミスでも特定の人がやると、ナースステーションで罵声を浴びせられたり、大人数で怒鳴られる。
・患者や家族の前で激しい口調で怒鳴り散らされ、患者や家族からの信用を失ってしまう。
新人看護師へのいじめ
・手技などの仕事を教えてもらえないだけでなく、失敗すると笑いものにされる
・ロッカーからペンライトやボールペン、シューズなどを隠されたり、捨てられたりする
仕事の押しつけ
・体力的に厳しいシフトやイベントの日は必ず夜勤をいれられるなど配慮のない勤務シフトを組まれる。
・誰もが受け持ちたくない患者を毎回押し付けられる。
陰口・無視
・挨拶しても質問しても無視される
・ありもしない悪い噂を流される
2.いじめられやすい人の特徴
おとなしい
いじめられる看護師は大人しいタイプが多く、日頃からあまり前に出ることがなく、いじめても何も反論してこないような性格の方が狙われやすいです。
言い返すのが一番ですが、難しい場合は同僚や上司に相談しましょう。
また、もじもじしたり、小声でしゃべることは、忙しい看護師にとってはイライラしてしまう要素のひとつです。
挨拶や自分の考えを伝える場合はすばやくハキハキ話すように心がけましょう。
マイペースで行動が遅い
看護師の仕事はチームワークが重要になります。
自分の業務だけを考えて行動してしまうとチームワークを乱して業務に支障をきたしてしまいます。
また看護師の仕事は患者の生死にかかわる仕事なので、時間勝負になります。
行動が遅かったり、マイペースに仕事をしていては、周囲の看護師に迷惑をかけてしまいます。
周りの動きをよく観察し、次にどういった行動をとるべきなのか考えながら段取り良く業務を行うように心がけましょう。
ミスが多い
ミスが多い、同じ質問を繰り返す、一人で仕事を任すことができないような看護師は周囲から嫌煙されがちです。
仕事が忙しいのに、何度注意しても仕事を覚えず、足を引っ張る人に割いている時間も余裕もありません。
ミスをしてしまったら原因や再発防止策をしっかり考え、早く業務を覚える努力をしましょう。
自分は凄いと勘違いしている
経験を積んだ看護師が勤務する病院を変え新しい職場に入る場合によくこの傾向がみられます。
「自分は知識が豊富で仕事ができる」と自分の能力を過信している人は、新たな職場でなめられないように、できる風な振る舞いをしてしまい周囲と溝ができやすいです。
病院によって業務のやり方は異なります。
いくらスキルが高くともスキルをひけらかすことはせず、日頃から謙虚に、転職先やり方を注意深く観察してスムーズに溶け込むように心がけましょう。
3.いじめられないためには
ハキハキと笑顔で挨拶しよう
新しい職場で人間関係をうまくやっていくには第一印象が左右すると言っても過言ではありません。
人の第一印象は3秒で決まると言われており、相手に良い印象を与えるには初めの挨拶がかなり重要になります。
ハキハキと笑顔で挨拶することを心がけましょう。
積極的に行動する
やる気が感じられる人はそれだけで好印象が持たれます。
仕事中は積極的に動くようにしましょう。
新人の場合は雑務でもなんでもかまいません。
「仕事に対して真面目な人」というイメージから信頼関係をスムーズに築いていくことができます。
郷に入っては郷に従え
中途採用の場合、今までの経験が当たり前だと思ってしまいがちですが、病院によってやり方はさまざまです。
新しい職場のやり方に違和感を感じるかもしれませんが、それを守らなかったり、新しい職場を批判するような発言はしてはいけません。
新しい職場に慣れるためには一度今までの自分の常識から離れて、新しい職場の方法を素直に受け入れるようにしましょう。
報・連・相をこころがけよう
業務に追われている先輩をみて、質問や相談しづらいからといって自己判断で行動してはいけません。
間違った自己判断はミスに繋がりかねません。
報告・連絡・相談をしっかり行い、積極的に質問し、回答にみあう成長をすることで先輩から信頼されるようになるでしょう。
また中途採用の場合も、前の職場の流れで作業しがちですが、病院によってシステム自体が大きく異なり、ミスが発生しやすい状況であることを自覚して、一つ一つのことに報・連・相を心がけるようにしましょう。
自己学習を怠らない
積極的に自己学習を行い知識を身につけましょう。
たくさんの知識を身に付けることで仕事を早く覚えることができ、ミスを防ぐことにもつながります。
同じ質問を繰り返す、ミスが多い、ひとりではなにもできないような看護師は他のスタッフに嫌煙されてしまいます。
前向きに努力している姿は、好印象を与えるため周りに早く認めてもらうことができるでしょう。
4.いじめを解決するためには
信頼できる上司に相談する
まずは看護師長など上司に相談しましょう。
雇用側には看護師の職場環境を整える義務があり、職場の環境作りや持ち場の改善も看護師長の仕事のひとつになります。
いじめの現状を報告し、対策を検討してもらいましょう。
どの病院も看護師不足で人員確保に悩んでいるため、早急に対策してくれるでしょう。
身近な先輩やリエゾンナースに相談する
看護師長に相談しにくい場合は、身近な先輩や主任に相談してみましょう。
精神的なストレスは、1人で抱えこんだり自分を責めたりしても、解決にはなりません。
だれかに話すだけで心が整理できることもあります。
またリエゾンナースがいる病院は、リエゾンナースに相談しても良いでしょう。
リエゾンナースは、「精神ケアなどを専門とする看護師」であり、看護師や医師の仕事での悩みの相談を受けることも仕事のひとつになります。
いじめに有効なアドバイスだけでなく、問題解決の鍵となる人を紹介したり、あなたのメンタル面のケアもしてくれるでしょう。
自分の中で期限を決めておく
上司に相談する場合は、自分の中で解決までの期限を決めるといいでしょう。
すぐに対策に乗り出して、解決されれば良いですが、対策を立ててもらえない場合や対策の効果がなかなか得られない場合もあるかもしれません。
期限を決めておけば、終わりの見えないいじめを受けているよりも、精神的に楽になるでしょう。
そして期限内に解決・改善が見られなければ、環境そのものを考え直すことも解決策の一つになるのではないでしょうか。
他の病院・施設へ転職
色々試した結果、どうしても問題が改善しなければ見切りをつけて他の病院や施設への転職を考えましょう。
いじめの原因は、能力が低いからでも、性格が悪いからでもなく、今いる病院の体質やそこにいる先輩や上司が、自分に合わなかっただけです。
転職は、人間関係を一新できるチャンスです。
人間関係の良好な職場に転職すれば生き生きと楽しく看護ができ、能力を発揮しやすいでしょう。
5.人間関係が良好な職場の条件
コミュニケーションの頻度が高い
看護師間のコミュニケーションが多い職場は人間関係が良好な場合が多いです。
カンファレンスや勉強会などでは、自然と会話の回数が増えます。
またスポーツ大会や飲み会などのレクリエーションでは親睦を深めることができます。
このような行事が頻繁に行われている病院は人間関係が良好である場合が多いです。
医療施設ホームページなどを見ると、こういった行事について記載されていることがあるので、求人を見つけたらホームページも確認するようにしましょう。
病院の規模
規模の大きい病院や施設はスタッフの人数が多いため、ちょうど良い距離感を保ちやすいです。
また、万が一関係が悪くなっても、配置転換などの対処法があるので安心です。
反対に、小規模病院では職場の中で問題が起こると修復は困難な場合が多いです。
求人情報を見るときは、勤務する看護師の人数や看護師以外の方も含めた総職員数などをチェックすると良いでしょう。
年代に偏りがない
勤務するスタッフの年齢層にバラつきがあるかチェックしましょう。
幅広い年齢の方が勤務しているということは、どの年代の人にとっても働きやすい病院と言えます。
また、幅広い年齢層の人がいると中には自分と同年代の方がいる可能性も高く、そうした方々と良い人間関係を築くことができる可能性が高いです。
募集要項や求人広告を見る際は、スタッフの平均年齢や年齢分布も参考にしましょう。
求人サイトの常連は要注意
求人を頻繁に出している病院は辞める看護師が多く、慢性的な人手不足である可能性があります。
人間関係がうまくいっていればそう簡単に辞めるようなことはありません。
求人を頻繁に出している病院は、条件がいいことも多いので、慎重に判断する必要があります。
自分と同じ境遇の人がいるか
自分と状況のスタッフがいるかどうか確認しておきましょう。
例えば小さい子供を育てながら働きたい人であれば、子育てしながら働く看護師が多いか、ブランクが長い人は同じような人が転職しているかを確認しましょう。
同じ状況の人が多い職場であれば周囲に理解し協力してくれる方が多い可能性が高くなり、働きやすい職場となるでしょう。
6.人間関係の良い職場をみつけるには
病院見学
病院の雰囲気は、実際に自分の目で確かめるのが一番です。
面接を受けたいと思ったらその病院に病院見学を行なっているか連絡してみましょう。
断られた場合は、患者として病院を訪れてみましょう。
看護師の表情やコミュニケーションがはかれているか、患者の様子、トイレは清潔に保たれているかなどをチェックしてみてください。
面接官の態度をチェック
病院の面接では師長など配属先の上司になるひとが面接官となる場合が多いです。
職場の雰囲気や師長の人柄による部分が大きいです。
面接官の態度をチェックすることで、職場の雰囲気を感じ取ることができるでしょう。
高圧的、笑顔がない、面接官同士の会話が不自然など感じた場合は注意が必要です。
転職サイトを活用する
転職サイトでは在籍している看護師や実際に転職した看護師にヒアリングしたり、アンケートを取ったりしているので、病院に関するありとあらゆる情報が蓄積されています。
病院の内情や人間関係、離職率などを把握している事もあるので、積極的に利用してみましょう。

インターネットの口コミサイト
病院の口コミサイトでは患者目線での、看護師の対応や病院の雰囲気などを知ることができます。
看護師の人間関係が悪かったら、患者にも伝わるため、口コミはとても参考になります。
まとめ
イジメを受けると、「自分は看護師に向いていない」と考え辞めてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、いじめを受けたからといって諦めてしまうのはもったいないです。
職場でいじめにあった時は、無理して我慢する必要はありません。
解決のために行動しても解決されないのであれば、転職することが一番の解決法です。
あなたが、看護師としていきいきと働ける職場は、きっとどこかにあるはずです。
看護師を辞めたいと思った時に役立つ記事をいくつか書いていますので参考までに読んでみてください。


