【保存版】先輩ママが解説する!知っておきたい母子家庭のお金事情

最近、「母子家庭の貧困問題」がテレビで取り上げられているのをよく目にします。
離婚すると、大半は母親が子どもの親権者になります。

母子家庭では生活費はどのくらいかかり、収入はどのくらい必要なのでしょうか?
また母子家庭が受けられる公的な支援はどういったものがあるのでしょうか。

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1.母子家庭の平均生活費と内訳

モデルケースとして、子供(小学生)の人数別生活費の内訳を見てみましょう。

1-1.子供が一人の場合


●支出総額 150,000円

<内訳>
・家賃 50,000円
・光熱費 15,000円
・携帯代 8,000円
・食費・日用品 30,000円
・生命保険料 3,000円
・ガソリン代 10,000円
・給食費 5,000円                 
・その他(美容院・化粧品・衣料費・交際費・レジャー費・子供習い事など) 29,000円

1-2.子供が二人の場合


●支出総額 180,000円

<内訳>
・家賃 60,000円
・光熱費 15,000円
・携帯代 10,000円
・食費・日用品 38,000円
・生命保険料 3,000円
・ガソリン代 10,000円
・給食費 9,000円                    
・その他(美容院・化粧品・衣料費・交際費・レジャー費・子供習い事など) 35,000円

1-3.子供が三人の場合


●支出総額 200,000円

<内訳>
・家賃 60,000円
・光熱費 15,000円
・携帯代 12,000円
・食費・日用品 45,000円
・生命保険料 3,000円
・ガソリン代 10,000円
・給食費 13,000円                   
・その他(美容院・化粧品・衣料費・交際費・レジャー費・子供習い事など) 42,000円

上記のケースは最低限の支出に抑えた金額になります。

子どもの性別や年齢によってはもっと多くなりますし、これ以外に車の車検費用や自動車保険代も必要です。

PTA会費や子供会の会費、冠婚葬祭費用などの臨時出費も必要なので、こうした臨時の出費も考えてやりくりしなければなりません。

2.母子家庭の収入

母子家庭になるとグッと年収が下がり、生活が苦しくなってしまいます。
同じひとり親でも男性に比べて女性の場合は平均年収が低く、自治体からの手当てが欠かせないというご家庭も多いようです。

児童のいる世帯

母子家庭

平均総所得
(児童のいる家庭を100%とする)

697.0万
(100%)

250.1万
(36%)

厚生労働省調査によると児童のいる世帯の平均総所得697.0万円を100%とした場合、母子家庭の収入割合は36%になっており、平均の1/3程の収入で家計をやりくりしなければなりません。

2-1.勤労収入

母子家庭の収入が少ない一番の要因は「勤労収入」が少ないことです。
厚生労働省調査による母子家庭になった理由別の所得状況が以下の表になります。
離婚・未婚・その他(生別)ではほとんど差は見られませんが、死別による母子家庭だけは若干多くなっています。
※死別の場合は配偶者の生命保険・遺族年金などの収入があるため。

離婚理由

割合

100万未満

100~200万

200~300万

300~400万

400万以上

勤労収入

死別

8%

33.6%

30.9%

17.3%

7.3%

10.9%

256万

離婚

81%

26.1%

37.2%

21.2%

9.1%

6.3%

176万

未婚

8%

45.0%

27.0%

15.3%

4.5%

8.1%

160万

その他

3%

38.6%

20.5%

22.7%

11.4%

6.8%

164万

総数

100%

28.6%

35.4%

20.5%

8.7%

6.8%

181万

(平成23年 全国母子世帯等調査より)

母子家庭では仕事を持つ割合が約90%、そのうちパートやアルバイトで働いている方は約50%と言われています。
つまり、正社員として働く方が少ないために、平均年収が低いという現状になっているのです。

総数

平均

正社員

47%

270万

パート・アルバイト

53%

125万


では収入を増やすにはどういった方法があるのでしょうか。

●マザーズハローワークの利用
「マザーズハローワーク」は子育て中の女性が対象のハローワークです。
キッズルームも完備されているため、子連れでも安心して求人閲覧や指導が受けられます。また応募する時点で企業側がシングルマザーであると認識してくれているところが大きなメリットです。

●資格獲得スキルアップを目指す
企業によっては資格手当てが付いたり、採用にあたって特別な技能資格が必要な場合があります。
やはり資格は就職活動において大きな武器となります。
子育てで勉強時間を取る事は簡単なことではありませんが資格取得に向けて積極的に取り組むことが大切です。

●とにかく働く
はじめから正社員にこだわらず、まずはパートでもアルバイトでもいいので、とにかく働きましょう。
職務経験のある人は、それが強みになります。
またパート、アルバイトを続けることで正社員へキャリアアップということもあります。

2-2.養育費

子供の人数別養育費と平均値は以下の表となります。

1人

2人

3人

平均

養育費

35,438円

50,331円

54,357円

43,482円

(平成23年 全国母子世帯等調査より)

統計によると母子家庭の平均養育費は43,000円となっています。
しかし実際に養育費を受け取っている母子家庭は全体の2割にも満たないのが現実です。
父親にも責任をとらせるべく養育費の支払を請求しましょう。

では養育費はどのように請求するのでしょうか。

●離婚の場合

まず相手に養育費を支払ってくれるよう要求しましょう。
養育費の合意ができたら、公証役場で公正証書の形にしておくといいでしょう。

後に養育費が滞った場合は給料差し押さえが可能になります。
これに対し、相手が支払いに応じない場合には、養育費調停を申し立てます。
養育費調停では、相手がどうしても支払いに応じない場合には、裁判所が相手に支払い命令を出してくれます。
相手が審判内容に従わない場合には、給料を差し押さえることも可能です。

●未婚の場合
未婚の場合、まずは相手に認知をしてもらう必要があります。
相手が認知に応じた場合は役所に認知届を提出します。

これに対し、相手が認知に応じない場合には、家庭裁判所で、認知調停をしなければなりません。

調停でも相手が認知しない場合、「認知訴訟」という裁判が必要になってしまいます。

認知訴訟では、DNA鑑定などをして、父子関係を確認します。
これにより、裁判所の判決で認知が決定し、相手に養育費の請求をします。

相手が任意に支払いに応じない場合には、離婚のケースと同様、家庭裁判所で「養育費調停」をし、調停でも養育費の支払いに応じない場合には、審判になって、裁判所が支払い命令を出してくれます。

このように、未婚の場合、まずは認知、その後養育費請求という2つのステップが必要になります

2-3.公的支援制度

・児童手当
0歳から中学校を卒業するまで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童が受給できる手当てで、支給額は以下になります。

0歳~3歳未満

3歳から小学校卒業まで

中学生

第1子、第2子

第3子以降

15,000円

10,000円

15,000円

10,000円

なお所得制限を超える場合は5,000円となります。
子供の人数や所得によって細かな制限があるので詳しくは、役場の子育て支援担当課に相談しましょう。

・児童扶養手当

父母の離婚や死亡などで、父母の一方の養育しか受けられない子供がいる家庭に支給される手当で子供が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで支給されます。

児童扶養手当の額は、基本額-支給停止額(所得に応じて差し引かれる金額)で決まります。支給額の目安を以下の表にまとめました。

所得\子供の数

1人

2人

3人

570,000円

42,290円(全額)

52,280円(全額)

58,270円(全額)

950,000円

35,180円

52,580円(全額)

58,270円(全額)

1,330,000円

28,090円

44,070円

58,270円(全額)

1,920,000円

17,070円

31,360円

44,500円

2,300,000円

9,980円(最低)

23,160円

35,670円

2,680,000円

0円

14,980円(最低)

26,810円

3,060,000円

0円

0円

17,980円(最低)

※所得とは、総収入額から控除額を差し引いた後の金額になります。


実際にいくらもらえるのか、以下のシミュレーションツールで算出してみましょう。

児童扶養手当:支給額シミュレーション:
※参考サイト

児童扶養手当の金額シミュレーション計算機:
http://danjo.onayami.help/calc/jidoufuyou/

・児童育成手当
自治体によって、独自でひとり親家庭への支援制度を行っていることがあります。
児童育成手当は東京都での制度名で、児童1人につき月13,500円の手当てを支給しています。
制度名や金額、支給対象者などは自治体によって異なるので、お住まいの地域の役場への問い合わせが必要です。

・住宅手当

住宅手当、家賃補助とは、民間の住宅に住んで、20歳未満の児童を養育している家庭(母子家庭か父子家庭)の世帯主に対する、家賃の助成です。

一部の自治体が独自に実施している制度で、支給要件や支給額なども自治体によって異なります。
住んでいる地域の市区町村役場の窓口で確認してください。

・ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭への支援制度で、18歳未満の子どもの医療費(自己負担分)の一部を助成する制度です。
子供の医療費だけでなく、父母や子供を監護している人の医療費(自己負担分)の一部も免除されるなど、助成内容は自治体によってさまざまなので役場への確認が必要です。

・所得税・住民税の控除
一人親家庭の親は、所得税・住民税の控除を受けることができます。
控除の額は所得税で270,000円となっています。
住民税は市区町村によって要件が異なるため、確認が必要になります。

・国民年金の軽減
確定申告すれば国民年金の保険料が軽減されます。
国民年金の第一号被保険者について、収入がなく保険料が収められない場合や、生活保護を受けている場合などに保険料が免除される制度です。


上記以外にも水道料金の免除や交通機関の割引制度、保育料の免除・減額など、地域や市区町村によってさまざまな制度があります。
自分利用できる制度にどのようなものがあるか、役場に相談してみましょう。

3.貯蓄

母子家庭の貯蓄額は以下となります。

総額
(%\万)

50
未満

50~100未満

100~200未満

200~300未満

300~500未満

500~1000未満

1000以上

不詳

死別

19.5

0.8

10.6

4.9

6.5

10.5

27.6

19.6

生別

50.0

7.4

9.3

4.5

4

3

2.1

19.7

生別の実に半数程度の母子家庭が貯蓄50万円以下という結果になりました。

生命保険などが支給されていると思われる「死別」家庭については年収1000万円以上の割合が約3割と高くなっていますが、「生別」のケースではかなりの貧困状態であると予想されます。

4.母子父子寡婦福祉資金貸付金

月々の生活が精一杯で貯金をする余裕がない人にとって親自身の就労や子供の修学、引越資金や冠婚葬祭など大きな出費がある時はどうすればいいのでしょうか?

ひとり家庭の父母は、就労や児童の就学などで資金が必要となったときに、都道府県、指定都市又は中核市から貸付けを受けられる「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」を利用することができます。
連帯保証人を立て無利子での貸付となります。

また、償還期限は資金の種類により3年間から20年間までとなっています。

さらに、連帯保証人の確保が困難な母子家庭の実情を考慮し、連帯保証人のない場合も有利子貸付(1.5%)を認められます。
以下の表は平成28年度の東京都における貸付金の種類及び限度額をまとめたものです。

内容

貸付限度額

据置期間

償還期間

事業開始資金

事業を開始するのに必要な設備,什器,機械等購入資金

2,830,000円

1年

7年

事業継続資金

現在営んでいる事業を継続するために必要な商品,材料等を購入するための運転資金

1,420,000円

6ヶ月

7年

技能習得資金

自ら事業を開始又は会社等に就職するために必要な知識・技能を得るために必要な授業料,材料,交通費等の資金

月額68,000円
(運転免許取得の場合460,000円)

1年

20年

就職支度資金

就職するために直接必要な被服,履物等及び通勤用自動車等を購入する資金

100,000円
(自動車購入の場合330,000円)

1年

6年

住宅資金

住居を建設し,購入し,補修し,保全し,改築し,又は増築するために必要な資金

1,500,000円
(増改築の場合2,000,000円)

6ヶ月

6年(増改築は7年)

転宅資金

住居を移転する際に必要な賃借料その他の資金

260,000円

6ヶ月

3年

医療介護資金

医療又は介護(当該医療又は介護を受ける期間が1年以内の場合に限る。)を受けるために必要な資金(自己負担分)

医療340,000円(所得税非課税世帯480,000円)
介護500,000円

6ヶ月

5年

生活資金

(1)知識技能を修得している間,(2)医療若しくは介護を受けている間,(3)母子家庭又は父子家庭になって間もない(7年未満)母又は父の生活を安定・継続する間,(4)失業中の生活を安定・継続するのに必要な生活補給資金

(1)
月額141,000円
(2)(3)(4)
月額103,000円

生計中心者でない場合
月額69,000円

6ヶ月

(1)20年,(2)(4)5年,(3)8年

修学資金

高等学校,高等専門学校,大学及び専修学校に就学させるために必要な授業料,書籍代,交通費等の資金

高等学校国公立(自宅)月額27,000円から大学私立(自宅外)月額96,000円まで細分化されています。

卒業後6ヶ月

20年

専修学校
(一般課程)
5年

就学支度資金

小学校,中学校, (所得税非課税世帯),高等学校,高等専門学校,大学及び専修学校並びに修業施設に入学又は入所するに当たって必要な資金

小学校
40,600円
中学校
47,400円
公立高校及び専修(高等・一般)
160,000円
私立高校及び専修(高等)
420,000円
国公立大学及び専修(専門)
380,000円
私立大学及び専修(専門)
590,000円
修業施設
100,000円

卒業後6ヶ月

概ね5年

修業資金

事業を開始し,又は就職するために必要な知識,技能を習得するのに必要な資金

月額68,000円(運転免許取得の場合460,000円)

1年

6年

結婚資金

結婚するために必要な資金

300,000円

6ヶ月

5年

申請から資金が交付されるまで通常1ヶ月以上かかるため、すぐに貸付が受けられるわけではありませんが、金利の高いキャッシングなどを利用する前に検討してみましょう。

5.さいごに

最近は、ライフプランも多様化し、シングルで子育てをしている女性も増えています。

しかし、年収で300万円以下、貯蓄額50万円未満が約50%と年収・貯蓄の結果からシングルマザーの経済状況は大変厳しいものであるという結果が導き出されました。

多くの人が両親の2人で育児と仕事を担当している中、1人でそれを十分にこなすことはとても難しいことです。

今回の記事でお伝えした「手当」、「助成金」、「減免・減額」などの支援制度を積極的に活用することで少しでも生活の一助になるのではないでしょうか。