動物看護師ってどんな職業かご存知でしょうか?名前の如く動物を看護するお仕事です。
獣医師のことは知られていますが、動物看護師については仕事の内容を知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、あまり知られていないけど実はひそかな人気となっている動物看護師についてご紹介したいと思います。
1.動物看護師ってどんな仕事?
まずは、動物看護師の仕事内容や仕事の魅力をご紹介したいと思います。これから動物看護師を目指すことを検討している方、是非参考にしてみてくださいね。
1.1.動物看護師の仕事ってどんな内容なのか、魅力はどんな所になるのか
動物看護師は、別名で獣医看護師・獣看護師と呼ばれています。勤務先は、動物病院が一般的な職場となるケースが多く、獣医師の補助的役割を担っています。
少数ではありますが、動物病院の他、ペットショップや検査研究機関、その他動物のいる施設で働き、活躍している人もいます。
人を看護する看護師たちが医師の指示のもと業務を行うのと同様に、動物看護師も獣医師の指示のもとで、診療補助を行い、カルテ作成、入院している動物たちの食事管理、検査の実施等を行います。
動物の命をつなぐ大切な仕事であることがわかります。その分学ぶきことや大変なこともあるのではないでしょうか。
そこで、先輩方の声を少し集めてみましたので聞いてみましょう。
1.2.先輩に聞いた!動物看護師のやりがいや楽しい事、辛いことや悩み、苦労したこと
現在、動物看護師として働く先輩たちはこの仕事にどのようなやりがいを感じているのでしょうか。ここでは本音と建前をしっかり聞いてみました。
動物看護師の仕事のやりがいだけではなく、辛いこと辞めたいと思ったことなども含めて教えてくれました。
1.2.1.仕事のやりがいについて
ケガや病気で苦しむ動物達が元気になるお手伝いができることが何よりのやりがいであると回答する人が圧倒的に多い声でした。
また、動物を家族同然と考えるご家族たちの安堵の表情や感謝の言葉をかけられた時には、やっていて良かったと喜びを感じるという声も多数ありました。
動物やペットのご家族たちの気持ちにも寄り添うこと、その反響を受け止めること。とても大変なことですがやりがいも非常にあるのではないでしょうか。
1.2.2.覚悟しておくべきこと(苦労したことや辛い経験から学んだこと)
これは人を看護する看護師も同様かと思いますが、単純に「動物が好きだから」と理由だけで乗り越えられるほど甘くない仕事であることも同時に痛感している人が多いようですね。
それは、動物たちの生死に関わる重責を担っていること。
人と違い、言葉を発することが出来ません。そのため、ちょっとのサインに気づき、対処できるきめ細やかさも必要であり、難しい一面なのです。
そして、元気に回復する動物たちばかりではなく、動物たちの死に直面することもあります。
とても悲しい経験をする機会もあることを理解しておくべきとの声も多く聞かれました。自分の悲しさ・辛さよりも飼い主の辛さを組み、ご家族に寄り添う看護師であるべきと考える人が多いようです。
看護師とは違い動物看護師はコミュニケーションが取れないという点が非常に大変で、不安や後悔の念もそこを発端にしていることが多いです。この仕事を続けていく限り続くことになりそうです。しっかり覚悟をして臨まないとできない仕事ですね。
1.2.3.動物看護師のニーズとこれからの需要は
動物看護師の人数は約2万人ほどだそうです。(動物看護職協会調べ)このあと資格については改めてご紹介しますが、専門的な職業でありながらも公的資格になっていない現状もあり、まだまだ人数は少ないようです。
しかなしながら、ここ数年でのペットブームは益々拡大傾向にあります。現在の日本では、ペットを飼っている世帯が3世帯に1世帯ほどと言われているそうです。
そのため、今後はさらに需要は高まるのではないでしょうか。その現状を受け、最近では動物医療レベル向上を求める人が増えてきたことから協会を立ち上げ、その輪を広げようと頑張る人団体が増えてきています。
1.3.動物看護師の1日の流れ
動物看護師は一日どのような流れで仕事を行っているのかをご紹介したいと思います。
【個人動物病院で働く人の場合(8:00~19:00勤務時間帯の場合)】
朝8:00に出勤し、院内の清掃・患者を迎える事前準備を行います。その後、受付開始時刻になったら、まずは受付業務を行います。
この業務は人が病院に通うときに受付をする作業と同じようなイメージですね。その後、診察順に患者を診察室へ通し、医師の補助等を行います。
一通りの診察が終わったら、会計業務や薬の処方があれば薬の準備や説明を行います。
大まかな流れはこのような形ですが、病院へ来る前に電話での問い合わせも入ることも多いため、電話での対応や不安を抱える飼い主への配慮など一日目まぐるしく動くことが多いようです。
午前中の診療が終わるとお昼休憩を取り、午後の診療開始まで午前の残り業務をこなし、午後の診療準備を行います。19時頃その日の診療が終わったあとは、院内清掃を徹底して行います。
衛生的な観点から、動物の毛の処理や臭い等が強く出る場合もあるため欠かさずに清掃します。ようやく一通りの片づけが終了したところで帰宅するケースが多いようですね。
2.動物看護師の資格について
動物看護師になるためにどのような資格取得が必要なのか、また資格を取るための方法や対策までご紹介したいと思います。
2.1.動物看護師は国家資格?
医療現場で働くので、動物看護師は国家資格だと思っていた人も多いのではいでしょうか?現段階では動物看護師は国家資格ではありません。
では、無資格でも働けるのか?というと、とても難しいのですが、実際には一定期間、専門的な学校で知識や経験をしていることが望ましく、就職には圧倒的に有利です。
その指針としていたのが、動物看護を支援している協会が実施している民間資格や、2012年からは動物看護団体が共同で統一試験を実施しており、その資格がスキルを示す一番メジャーな資格になっています。
今後は、世の中の需要と傾向によって試験も一本化されるのではないかと言われているようです。
2.2.認定動物看護師が一番スタンダードな資格
現在、スタンダードな資格と言われているのは。“認定動物看護師”の資格です。
動物病院など専門機関で働くことを視野に入れている人は、まずはスタンダードな認定看護師の資格取得に励むことをオススメします。
具体的に資格の概要や条件については以下にご紹介します。是非参考にしてみてくださいね。
<受験資格>
- 動物看護師統一認定機構が推奨したコアカリキュラムに基づく「動物看護学」を教育する学科あるいはコースを有する専修学校あるいは大学において、認定動物看護師になるのに必要な単位または必要時間数を正規課程で修めた者(入学年度前の3月31日までに修める見込みの者を含む)
- 動物看護師統一認定機構の受験資格審査により個別に認めた者(なお、2012~2014年度の動物看護師統一認定機構の試験を受験し、不合格になった者は当分の間、受験資格を有する)。
2.2.2.合格率
2016年3月実施の結果では、合格率は85.6%となっており、決して低い合格率ではありません。それは専門機関で一定のカリキュラムを学んでいるため比較的合格率も高いのかもしれません。
つまり専門機関のカリキュラムでは、試験対策が含まれることも多く事前対策をする学校が多いことになります。
そのため、学校に通っている間にしっかりと習得さえしていれば、合格へ近づきやすいのではないでしょうか。
2.2.3.試験対策
前項でご紹介した通り、まずは専門機関に通学中に試験に向けた対策についてしっかり押さえておくことが一番大切です。
試験は、一般問題が90問/100、実地試験も30問/40分の五肢択一のマークシート形式で構成されています。
選択問題なので、過去問題を何度も繰り返し落とし込みする方法も対策としては有効なのではないでしょうか。
試験分野に関しては、下記資料をご覧ください。
3.認定動物看護師になるにはどうしたらいいのか
認定動物看護師になるためにどうしたら良いか詳しくご紹介してまいりたいと思います。
3.1.動物看護師に向いている人材とは?
動物看護師に向いている人材として求められるものをまとめてみました。
動物病院では、受付業務、動物の管理・世話、獣医師の補助、清掃など1日にこなす業務は多岐に渡ります。そのため、広い視野を持ち、フレキシブルに動ける能力が求められます。
動物看護師さんは一人で何役もの仕事をこなさないといけないことが多いため、一日中動き回らなければならず健康管理に加え体力があることもとても重要ですね。
また、動物たちは会話が出来ません。そのため、飼い主への治療方針・薬の処方などについて会話する機会がとても多くなりますから、コミュニケーションを円滑に進められることも求められます。
3.2.学校はどこへ通えばいいのか
学校を選ぶ際は、動物看護師統一認定機構のカリキュラムを取り入れている学校を選ぶことをオススメします。
そして、その他の特色については自分が何を求めるかを重視して選ぶと良いでしょう。
例えば、実業務を意識したいということであれば実技実習に力を入れている学校になるでしょうし、動物看護師以外の資格も取得しておきたい方には、カリキュラムを取り入れているところを選ぶのも良いですね。(例えば、トリマーやペット栄養管理士等)
3.3.就職や求人募集の状況
動物看護師の主な就職先として、一般的な動物病院への就職が50%以上となっているようです。
ここ数年のペットブームに対して病院の件数は約1万弱、今後需要が増える可能性は多いにあると言えそうです。
また、冒頭でもご紹介したとおり、動物看護師の認知度がまだ低く人数も少ないため、1年間を通して求人募集していることも多いようです。
4.給与や待遇について
次に気になるのは、収入や待遇面ではないでしょうか。平均的な給与相場、プライベートで環境が変わった場合でも継続して働ける環境であるかなどについて触れてみたいと思います。
4.1.給与
動物病院の規模によっても異なりますが、正社員については月給にして20万円以下のところが多いようです。パートタイムでは、時給1,000円~という求人が多い傾向にあります。
4.2.結婚・産後の働き方は?
女性は特に気になるのが結婚後、家庭との両立をして働くことが出来るかどうか、産後の復帰は可能かどうか悩む方も多いですよね。
現状、正社員での求人には産休・育休制度がある病院も多いようです。
また、一旦退職した後、正社員で働かない場合もパートという形での求人も多数あるので、働き方の選択肢はあることが言えます。
4.3.離職率は?
近年のペットブームも含め、「動物が好き」という一心から動物看護師に憧れ、目指す人が多い現状ですが、離職率はどうなのでしょうか。
実際は、強い憧れと共にようやく動物看護師になれたにも関わらず、僅か数か月・数年で離職してしまう人も少なくないようです。
それには理由があります。下記に挙げた4つが離職原因として最も多いようです。①と②については動物看護師に限らず、人を看護する看護師にも共通する部分ではないでしょうか。
<動物看護師離職の原因>
②不規則な勤務体制
③待遇面への不満
④人間関係
「動物を助けたい、好き」という強い気持ちの反面、現実的に辛い場面に遭遇することが耐えられず離職してしまうことや、病院によっては24時間体制という職場では夜勤があり、ハードワークに耐えられないという人もいるようです。
③と④については、動物看護師に限らず、どの職業においても挙げられる離職理由かと思いますので、③と④の理由で離職しないためには、就職前の職場リサーチが重要になってくるのではないでしょうか。